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ECONOSEC JAPAN 2025 出展レポート ~セキュリティ・クリアランス制度と重要物管理の最前線~

2025年9月30日・10月1日の2日間、池袋サンシャインシティで開催された経済安全保障対策会議・展示会(ECONOSEC JAPAN)に出展しました

会期中の来場者数は2日間で1,255名。官公庁関係者から民間企業の経営層・実務担当者まで、幅広い方々に当社ブースへ足をお運びいただきました。ご来場いただきました皆様、誠にありがとうございました。

今回は、ECONOSEC JAPANの概要から、当社ブースでの展示内容、セッションの模様まで、出展の様子をお伝えしていきます

1. ECONOSEC JAPANとは

経済安全保障対策会議・展示会(ECONOSEC JAPAN)は、経済安全保障に関する国内最大級の年次カンファレンス・展示会で、2025年で第3回目の開催となります。

2024年5月に成立した重要経済安保情報保護活用法に基づく「セキュリティ・クリアランス」制度の導入支援を目的に、「インテリジェンス技術(Intel-Tech)ゾーン」が特設されるなど、制度対応への実務的なニーズの高まりが感じられる展示会となりました。

2. ブース展示 「安心キャビネット®の実機展示・デモ」

当社は、セキュリティ・クリアランス制度の導入をサポートする「インテリジェンス技術(Intel-Tech)ゾーン」に出展し、安心キャビネット®の実機を展示しました。

2-1. 安心キャビネット®とは

安心キャビネット®とは、企業の重要な備品の貸出・返却・棚卸業務をDX化するキャビネット型の物理セキュリティシステムです。管理対象備品にRFIDタグを貼付し、「いつ・誰が・何を」持出・返却したのか正確に履歴を残すことができます。

2-2. 展示の様子

ブースでは実機を使ったデモンストレーションを実施しました。来場者の方々に、ICカードでの認証によるキャビネットの開錠や、備品の出し入れによる物品の貸し出し状況表示画面などをご覧いただきました。

ブースでのデモ説明の様子 ※個人情報等保護のため一部モザイクをかけています

ブースに掲示していた安心キャビネット®のポスター

ご来場の皆様からは、「こういうのが欲しかった」 「サイバーセキュリティだけでなく物理的な重要物管理の重要性を認識した」といったお声を多数いただき、セキュリティ・クリアランス制度対応における物理的セキュリティ対策のニーズの高さを実感しました。

3. セッション 「セキュリティ・クリアランスと重要物管理」

二日目の10/1(水)には、当社ITサービス部 部長の五十里 愼哉によるセッション「セキュリティ・クリアランスと重要物管理」を講演しました。

セッションでは、セキュリティ・クリアランス制度における物理的セキュリティ対策の重要性と、安心キャビネット®がその課題解決にどう寄与できるかについて解説しました。

3-1. セキュリティ・クリアランス制度の概要

まず初めに、セキュリティ・クリアランス制度の概要について改めて整理しました。

いわゆる「セキュリティ・クリアランス」とは、国家における情報保全措置の一環として、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報に対して、アクセスする必要がある者のうち、情報を漏らすおそれがないという信頼性を確認した者の中で取り扱うとする制度。

引用:内閣官房, "重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案"

行政機関が指定した重要経済安保情報を事業者に取り扱わせる際、その事業者および従業員に対し様々な観点で審査が行われます。

審査の結果、信頼性の確認(セキュリティ・クリアランス)を得た事業者や従業員のみが重要経済安保情報を受け取ることができ、万が一漏洩や不正取得が発生した際は罰則が適用されます。

この制度のポイントは、事業者の中で認定取得者のみが重要経済安保情報を取り扱える体制を構築し、それを継続的に維持していかねばならないという点です。

3-2. セキュリティ対策の3つの柱

セキュリティ・クリアランス制度における「認定取得者のみが重要情報を扱える体制」の構築・運用は、一般的な情報セキュリティ対策の基盤の上に成り立ちます。制度対応を進めるうえで、まず基本的な情報セキュリティが適切に実施されていることが重要です。

では、「一般的な情報セキュリティ対策」とは何を指すのでしょうか。
当社は、情報セキュリティには下記3つの対策があると考えます。そして、これら3つは同時に、かつ継続的に実施していくことが必要なものでもあります。

  • 人的なセキュリティ対策

ISMS運用や従業員のセキュリティ教育、採用基準の厳格化

  • 技術的なセキュリティ対策

ファイアーウォールや暗号化、認証技術の活用などを通じて情報漏えいを抑止

  • 物理的なセキュリティ対策

機器・設備を用いて情報資産や重要物品を紛失や盗難から保護

3-3. 「物理セキュリティ対策」の3要素

また、「物理的なセキュリティ対策」はさらに3つに分解することができます。

  • 防止

堅牢な仕組みを用いて、そもそものインシデントを防ぐ

  • 検出

万が一のインシデント発生の際に早期に気が付く

  • 対応

インシデント後の原状回復や対策を迅速に実施する

身近な例として、ホームセキュリティサービスを考えてみましょう。

施錠で侵入を未然に防ぎ(防止)、万が一侵入された場合は異常を検知してセンターへ通報が入り(検出)、警備員が現場に駆けつける(対応)。この一連の流れが、物理的セキュリティ対策の3要素を具体的に示しています。

3-4. 物理的な重要物管理における記録の課題

物理的な重要物には、例えば機密情報を含む書類、特定エリアへ入るためのIDカード、キャビネットや施設を開ける鍵、データが格納された情報端末やUSBメモリなど、多くの種類があるかと思います。

こうした重要物の管理において、当社も含め、多くの企業からよくお聞きするインシデントもしくはヒヤリハットの原因として挙げられるのが、「記録のミス」です。

万が一の重要物の紛失時に記録が正しく残っていなければ、原因究明も適切な対応も行えないためです。

しかし実際の備品管理の現場では、ヒューマンエラーが発生しやすい環境になっているケースが少なくありません。

例えば備品の貸し出しを手書きによる台帳で管理している場合、記入忘れや誤りが発生する可能性があります。

また、Excelなどの電子データで管理をしている場合でも、間違ったデータによる上書きや、ファイルの破損などが起こりうるかもしれません。

また、棚卸を目視で行っている企業では、見落としや数え間違いといったミスも起こりえます。

ヒューマンエラーが入り込みやすいこうした管理方法では、記録の正確性を維持することが難しくなります。そこで重要なのは、ヒューマンエラーは必ず起こるという前提で、そのリスクを低減する仕組みを構築することです。

3-5. "いつ・誰に・何を"貸出/返却したかを自動記録する「安心キャビネット®」

こうした課題を解決するソリューションとして、当社は「安心キャビネット®」をご紹介しています。

安心キャビネット®は、RFID技術を活用したキャビネット型の物理セキュリティシステムです。FeliCaや指静脈認証などのID認証で開閉し、キャビネット内の備品に貼付したRFIDタグで物品が格納されているかを識別し、「いつ・誰が扉を開けたのか」「何を貸し出していつ返されたか」を自動で記録します。

なお、RFID技術の基本や業務での活用方法の例については、こちらのブログで解説していますのでぜひご覧ください。

セキュリティ・クリアランス制度においては認定された人物のみが重要経済安保情報を取り扱える体制を整えることが重要です。重要経済安保情報が物理的な物品である場合は、安心キャビネット®は社員証や指静脈認証でキャビネットを開閉するため、この体制作りの一助となります

また、扉の開閉と連動して貸し出し記録が自動的に残るため、人的ミスによる記録漏れを防ぐことができます。

扉単位での柔軟な開錠権限設定も行えるため、例えばセキュリティ・クリアランスの認定を受けた社員にはキャビネットの上段・下段の両方を開錠できる権限を付与し、認定を受けていない社員には上段のみに制限する、といった運用が実現できます。このように個人ごとに開錠権限を制限することで、重要物の盗難や紛失のリスクを大きく低減できます

4. おわりに

今回の展示会では、官公庁関係者から民間企業まで幅広い立場の方が来場されていました。経済安全保障という課題に対し、業種や規模を問わず多くの組織が強い課題意識をもって向き合っている様子が伺え、制度対応への準備が本格化していることを実感しました。

当社はブース出展・セッション登壇を通し、セキュリティ・クリアランス制度対応における物理的セキュリティ対策、特に重要物管理についてお伝えしましたが、こちらが皆様の課題解決の一助となれば幸いです。

今回展示会にご来場いただけなかった方も、安心キャビネット®のデモやご相談を随時承っております。お気軽にご相談ください。

※「安心キャビネット® 」は当社の登録商標です。
※「FeliCa」はソニー株式会社の登録商標です。「FeliCa」はソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です。

デジタルテクノロジー マーケティング課
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