Veeam V11新機能 CDPレプリケーション検証(セットアップ編)
前回記載した通り、Veeam V11では、vSphere環境のVMレプリケーション保護機能を拡張し、新たにCDP(Continuous Data Protection=継続的データ保護)機能を追加しました。
Veeam CDPについてや、利用用途についてご紹介した前回のブログは以下をご覧ください。
3章のうち第2回となる今回は、Veeam CDPのセットアップ手順、Veeam CDPを実行するうえで理解しておきたいVAIOやCDP Proxyについてご紹介します。
目次[非表示]
Veeam CDPは数ステップでセットアップが完了します。
1.vSphereホストにI/Oフィルタドライバをインストール
1-1.VAIOとは
VAIO(vSphere APIs for IO Filteling)のインストール手順について解説する前に、そもそもVeeam CDPで使用されているこのVAIOとは何か?についてご説明していきます。
VAIOは、ESXiで実行されるフィルターをサードパーティ各社が開発し、ゲストオペレーティングシステムから仮想ディスクへ要求されたI/Oをインターセプトできるようにするフレームワークです。
実装されたI/Oフィルタ処理が行われるまで、I/O処理はディスクにコミットされることなく全てのI/Oをフィルタリングします。
今回のVeeam CDPではVeeam CDP用のVAIO用I/Oフィルタドライバが用意されています。
VAIOフレームワークを利用することで、通過するI/OをI/Oフィルタポリシーに基づきJournalファイルとして保存しCDPを機能させています。
今までのようなSnapShotベースの従来方式レプリケーションでは15分程度のRPOが推奨されていましたが、このようなCDPが実施されSnapShotが不要になったことで、より低負荷で連続的なデータ処理を行うことができるようになりました。
そうしたことで、さらに短縮されたRPO Per Secondを可能としたCDPベースの非同期型Continuous Replicationへと機能拡張されました。
1-2.VAIOのインストール
まずCDPのセットアップとしてVeeam I/OフィルターをvSphereクラスターへインストールします。
インストール自体はVeeamサーバの管理コンソールを操作するだけなので簡単にできますが、ホスト毎にではなく、全てのクラスターにインストールすることが必要なのは注意しておきたいポイントです。
(インストールはvSphereコンソールからも確認することができます。)
2.Veeam CDPプロキシ作成
CDPを使用するときにI/Oフィルターと同様に重要な働きをするVeeam CDP Proxy Serviceがあります。
Veeam CDP Proxyはデータムーバーとして動作し、ソースホストとターゲットホスト間でデータを転送するコンポーネントとなります。Proxyはデータの圧縮・解凍、暗号化・復号化を行います。
2-1.CDP Proxyデータ転送の流れ
①ソースホストはVMディスクデータを読み取り、I/O操作を読み取って処理し、データをソースプロキシに送信します。データは非圧縮で送信されます。
②ソースプロキシはソースホストから受信したデータを圧縮して暗号化し、ターゲットプロキシにデータを送信します。
③ターゲットプロキシはソースプロキシから受信したデータを解凍および復号化し、ターゲットホストにデータを送信します。
④ターゲットホストはターゲットプロキシからデータを受信し、このデータをデータストアのVMレプリカに保存します。また、ターゲットホストはVMレプリカを管理します。レプリカを作成し、復元ポイントを保持します。
2-2.CDP Proxy作成
CDP Proxyを作成します。
Proxyの役割はVeeam Backup & Replicationに登録されているWindowsの物理サーバor仮想マシンに割り当てることができます。
プロキシは本番サイト側とDRサイト側にそれぞれ1つ以上作成することが推奨されています。
※プロキシのシステム要件についてはVeeam Helpcenterをご覧ください。
https://helpcenter.veeam.com/jp/docs/backup/vsphere/system_requirements.html?ver=110#cdp_proxy
3.CDPポリシー
3-1.CDPポリシーの作成
CDPポリシーでは保護するVM、VMレプリカの保存場所、短期および長期リストアポイントの作成頻度などを定義します。
1つのポリシーで1つ以上のVMを処理することができます。
3-2.CDP構成時の注意点
◆CDP実行時にはディスク容量が必要なだけではなく、I/O性能も必要です。Veeam CDPは、CDPポリシー内のボトルネックを確認し、ストレージ性能が低いときには通知をします。
◆レプリカVMへ切り替えする際に、vSphereのCPUやメモリが実際のリソースと同時に消費されます。リソース状況を確認せずに実施しないよう注意してください。
◆RPOスケジュールの調整について
ソースVMのデータ更新量によっては、CDPポリシーのデフォルト15秒では転送しきれないことがあります。それを確認するにはVeeam ManagerのRPO:SLAとMax delayを見てください。
遅延例(15s)
↓
調整後
◆Veeam vSphere CDP補足
項目 |
用途・補足説明 |
|
Short-term retention |
低RPO |
RPO:2秒~60秒 (Default:15秒)15秒以上推奨 |
1~24時間キープ | ||
Long-term retention |
長期RPO |
1~24時間毎
1~30日キープ(Max95ポイント)
|
データ転送時間帯の制御 |
レプリケーションデータ転送を許可する時間帯の設定 |
ショートタイムポリシー、ロングタームポリシー毎の設定が可能 |
Application-aware processing |
ロングタームリテンションポリシーのスケジュールで利用可 |
Microsoft Active Directory Microsoft SQL Server |
Veeam CDP プロキシサービス |
Sauce CDP Proxy |
送信データを圧縮・暗号化 |
※Veeam vSphere CDPに関連する要件および制限については、Veeam HELP CENTERにて最新情報を事前に確認することをお勧めします。https://helpcenter.veeam.com/docs/backup/vsphere/cdp_requirements.html?ver=110
今回はCDP ProxyやVAIOなどセットアップに関する項目をご紹介しました。
次回は今回作成したProxyやポリシーを用いて検証を行います。
2.Veeam CDPレプリケーション検証(セットアップ編)